「特典航空券」vs「いっしょにマイル割」どちらがお得?
貯めたマイルを使って航空券を取得する方法は、なにも特典航空券だけではありません。 ANA ではマイルを使って航空券を取得する方法として国内線では「いっしょにマイル割」というものがあります。
「旅行好き陸マイラー」とブログのタイトルにもしている通り、私は旅行が好きで頻繁にどこかへ旅行に出かけています。年に複数回旅行をするため、年間を通してお得になるマイルの使い方が理想的です。いっしょにマイル割は、マイルと現金の支払いを合わせることで航空券を取得できます。今回は特典航空券とどちらがお得なのか検証をします。
いっしょにマイル割とは?
いっしょにマイル割は、ANAマイレージ会員専用の割引運賃です。マイレージ会員専用としている通り、ANA のマイレージ番号を持っている人だけが使える運賃です。
いっしょにマイル割の特徴は次の通りです。
- チケットは単一区間の往復航空券のみ (例えば、東京-札幌の往復)
- 2~4 人での旅行であること
- 同行者は家族以外も OK
- 1 人目は全国一律往復 10,000 マイル
- 2 人目から 4 人目は距離に応じて往復 21,000~27,000 円
(ピーク時は 21,000~36,000 円) - 予約後の変更は不可
- マイル支払いをした人は必ず搭乗しなければならない
さて、気がついて方もいらっしゃるかと思いますが、いっしょにマイル割の特筆すべき特徴は 3, 4, 5 の 3 つです。
家族以外との旅行でも使える
いっしょにマイル割は同行者が友人でも利用できます。特典航空券ですと、2 親等以内に限られてしまうので、両親/子供/兄弟までしか特典航空券を使えません。そのため、友人との旅行の時には特典航空券を使いづらいですが、いっしょにマイル割なら気にせずに利用できます。私は大阪住まいの友人 A の結婚式に出席するために、友人 B と羽田からいっしょにマイル割で出かけたことがあります。
必要なマイルは全国一律 1 万マイル
これ、特典航空券に比べると必要なマイル数がとっても少ないんです。特典航空券の場合、東京ベースで考えると、東京<->大阪/東北エリアの往復が ローシーズン で 10,000 マイルです。ローシーズンは年間でも短い期間だけの設定なので、通常はレギュラーシーズンとなり 12,000 マイルが必要です。東京 <-> 札幌 が 15,000 マイル、東京 <-> 那覇 が 18,000 マイルがレギューラーシーズンだと必要になってきます。
対して、いっしょにマイル割は全国一律 10,000 マイルでシーズンも距離も関係ありません。18,000 マイル必要な沖縄の特典航空券に 2,000 マイル追加すれば、いっしょにマイル割なら 2 回那覇まで往復できます。
また、家族 3 人で沖縄旅行へ行こうとすると、特典航空券の場合には 30,000 マイル以上必要です。しかし、いっしょにマイル割なら 10,000 マイルだけあれば良いのです。
同行者も全国片道約 1 万円、往復で 3 万円以内
同行者もとにかく安いです。東京 <-> 那覇を旅割 28 で予約すると、通常の時期であれば片道で 2 万円前後、往復で 4 万円程度かかります。移動しやすい時間帯のフライトを選んだら、さらに高くなってしまいます。それが、いっしょにマイル割だと時間帯に関係なく往復 2 万 6 千円です。同行者も片道分の料金で往復できるようになります。
特典航空券と比較する理由
始めにも書きましたが、私は旅行好きなこともあり年間に何度も出かけたいです。そうすると、特典航空券で全額マイルで航空券を取れたとしても、次回は普通に支払いをして航空券の購入になってしまいます。というわけで、私にとってのマイルの使い道は、特典航空券だけでなくいっしょにマイル割も候補になってきます。
必要な金額のシミュレーション
航空券取得方法ごとに必要な支払い金額
それでは実際にどちらがお得なのかを比較したいと思います。今回は例として東京と沖縄の往復で「特典航空券」、「いっしょにマイル割」と「通常購入」の 3 種類で比較します。通常購入した時の金額は、この記事を書いている1 ヶ月後の 10/22 土曜日に出発して日曜日には戻ってくる 1 泊 2 日の日程で計算します。また、通常購入する際の料金は、その日の中で一番安い料金 (旅割) で計算をします。
表1: 特典航空券、いっしょにマイル割と航空券購入での必要マイル数と支払い金額
人数 | 予約方法 | 必要マイル | 支払い金額 | 通常購入との差額 |
---|---|---|---|---|
1 人 | 特典航空券 | 18,000 マイル | 0 円 | ▲54,280 円 |
通常購入 | 0 マイル | 54,280 円 | - | |
2 人 | 特典航空券 | 36,000 マイル | 0 円 | ▲108,560 円 |
いっしょにマイル割 | 10,000 マイル | 26,000 円 | ▲82,560 円 | |
通常購入 | 0 マイル | 108,560 円 | - | |
3 人 | 特典航空券 | 54,000 マイル | 0 円 | ▲162,840 円 |
いっしょにマイル割 | 10,000 マイル | 52,000 円 | ▲110,840 円 | |
通常購入 | 0 マイル | 162,840 円 | - | |
4 人 | 特典航空券 | 72,000 マイル | 0 円 | ▲217,120円 |
いっしょにマイル割 | 10,000 マイル | 78,000 円 | ▲139,120円 | |
通常購入 | 0 マイル | 217,120 円 | - |
普通にチケットを購入すると高いですね (笑) 2 人での旅行の場合、普通にチケットを購入するよりもいっしょにマイル割は 8 万円 (一人当たり 4 万円) もやすくなっています。予約をするタイミングで支払う金額は、特典航空券 < いっしょにマイル割 < 通常購入 の順番になりました。特典航空券には負けますが、いっしょにマイル割も非常に安くなります。
マイルを貯めるのに必要な金額も含めた計算
次に、特典航空券といっしょにマイル割に必要なマイルを、陸マイラーとして貯めた時に必要な金額を計算します。必要な金額は、どの方法でマイルを入手するかに依存してきます。簡単化するために、ポイントタウンで店舗モニターを利用して食事代でポイントを稼いだと仮定します。 また、比較のために 30 %還元の案件と 50 %還元の案件だけを選んだとします。陸マイラーで年間 19 万マイル以上を貯める方法は、下記の記事で詳細を書いています。
10,000 マイル分をポイントタウンのモニター案件で貯めるとすると、230,000 ポイント (20 ポイント≒1円) が必要です。30,000 ポイントが余分についているのは、PeX からメトロポイントへの交換で 500 ポイントが手数料として必要になること、メトロポイントから ANA マイルへの交換で 100 メトロポイントが 90 マイルと 90 % の交換率になるためです。 10,000 マイル貯めるのに必要な金額を計算します。
- 30% 案件だけを利用した場合:
X(円) × 0.3 × 20 (ポイント/円) = 230,000 ポイント
なので、X = 38,333 円
- 50 % 案件だけを利用した場合:
X(円) × 0.5 × 20 (ポイント/円) = 230,000 ポイント
なので、X = 23,000 円
それでは、先程の表のマイルの欄をマイルを貯めるのに必要な金額に変更して、もう一度整理してみましょう。
表2: 発券に必要なマイルを貯めるために必要な金額換算表
人数 | 還元率 | 予約方法 | マイルに必要な金額 | 支払い金額 | 合計支払い金額 | 通常購入との差額 |
---|---|---|---|---|---|---|
1 人 | 30% | 特典航空券 | 68,994 円 | 0 円 | 68,994 円 | 14,714 円 |
50% | 特典航空券 | 41,400 円 | 0 円 | 41,400 円 | ▲12,880 円 | |
通常購入 | 0 円 | 54,280 円 | 54,280円 | - | ||
2 人 | 30% | 特典航空券 | 137,998 円 | 137,998 円 | 29,438 円 | |
30% | いっしょにマイル割 | 38,333 円 | 26,000 円 | 64,333 円 | ▲44,277 円 | |
50% | 特典航空券 | 82,800 円 | 0 円 | 82,800 円 | ▲ 25,760 円 | |
50% | いっしょにマイル割 | 23,000 円 | 26,000 円 | 49,000 円 | ▲48,891 円 | |
通常購入 | 0 円 | 108,560 円 | 108,560 円 | - | ||
3 人 | 30% | 特典航空券 | 206,998 円 | 0 円 | 206,998 円 | 44,158 円 |
30% | いっしょにマイル割 | 38,333 円 | 52,000 円 | 90,333 円 | ▲72,507 円 | |
50% | 特典航空券 | 124,200 円 | 0 円 | 124,200 円 | ▲38,640 円 | |
50% | いっしょにマイル割 | 23,000円 | 52,000 円 | 75,000 円 | ▲87,840 円 | |
通常購入 | 0 円 | 162,840 円 | 162,840 円 | - | ||
4 人 | 30% | 特典航空券 | 275,997円 | 0 円 | 275,997 円 | 58,877 円 |
30% | いっしょにマイル割 | 38,333円 | 78,000 円 | 116,333 円 | ▲100,787 円 | |
50% | 特典航空券 | 165,600 円 | 0 円 | 165,000 円 | ▲52,120 円 | |
50% | いっしょにマイル割 | 23,000 円 | 78,000 円 | 101,000 円 | ▲ 116,120 円 | |
通常購入 | 0 円 | 217,120 円 | 217,120 円 | - |
比較結果
驚愕の結果が出ました。マイルを貯めるために必要な金額も含めると、いっしょにマイル割の圧勝です。いっしょにマイル割は、人数に関係がなく 10,000 マイルの利用となっているのが理由です。 4 人で沖縄へ往復するチケット料金が 10 万円以上安くなっています。
そして、旅行する人数に限らず、いっしょにマイル割はポイント還元率 50 % で貯めた特典航空券よりも、チケットを入手するまでに必要な金額が ½ 程度になっています。
また、特典航空券の場合にはポイント還元率 30 % で貯めた時、普通に航空券を購入する場合よりも合計の支払い額が高くなってしまっています。
特典航空券といっしょにマイル割の比較まとめ
2 人以上で国内旅行をする時には、次の 2 パターンでマイルを利用するのがお得です。
- 1 回の旅行をできるだけ安くしたいなら、特典航空券を利用
- 複数回の旅行に行きトータルで安くしたいのであれば、いっしょにマイル割を利用
チケットの入手そのものに必要な金額は、表1 でまとめたとおり特典航空券の方が少ないです。そのため、「頑張った自分へのご褒美」的な旅行であれば、こちらの方が心も懐にも良いでしょう。
対して、「マイルを普段の旅行に還元していっぱい旅行に行きたい!」というような場合には、いっしょにマイル割が向いています。これは、いっしょにマイル割に必要なマイル数が 10,000 マイルと少ないからこそ実現できています。先程は案件モニターを利用した場合の必要金額の換算をしましたが、普段使っているクレジットカードのポイント移行でも 10,000 マイルであれば意外とすぐに貯まるので使い勝手はよいです。
ANA のマイルであれば、飛行機に乗らずに、今と同じ生活のまま工夫をするだけで年間 19 万マイル以上は貯める事ができます。
19 万マイルでできることは、東京から沖縄へ家族 4 人で毎年二回マイルを使った特典航空券で旅行に行くことも出来ますし、毎月いっしょにマイル割を使って通常の半額以下で国内旅行へ行くこともできます。 これからはどんどんとマイルを貯めて、思いっきり旅行を楽しむ生活をしてみてはいかがでしょうか。
ちなみに、JAL ではいっしょにマイル割と同じ制度がおともdeマイル割 だそうです。